最近、「年をとったなぁ」と思います。目が悪くなりました。(都合の悪いものほど良く見えません)
物忘れが激しくなりました。(都合の悪いことは全部忘れるようになりました)「おっさんになった」としみじみ思います。しかし、不思議と悪い感じがしないのです。むしろいい気分がします。「なぜだろう」
つらつら考えてみました。わかりました。「これは『おっさん』という道を追求しているのだ。利休が『茶の道』を追求したように、私は『おっさんの道』を究めようとしているのだ」
私はこれを「おっさん道」と呼ぶことにしました。「おっさん道」は甘くありません。「隠密同心 心得の条」の様に「掟(おきて)」がたくさんあります。不思議なことに、この「掟」は守らなくてもよいのです。もちろん、守ってもよいのです。今のところ「その八」まであります。その一、おっさんは、自由ではない。
おっさんは、「自由」や「平等」の意味を知っています。そしてそんなものはこの世には無いことも知っています。おっさんは何かに制約されています。その中で生きています。でも、不自由であることを、そんなに気にしていません。その二、おっさんは、紳士ではない。
おっさんは、普段はいい人です。でも時々かんしゃくをおこしたり、臆病だったり、ずるかったりします。そんな自分を反省して、ため息をついたりします。でもすぐに忘れます。卵かけご飯を、「じゅるじゅる」と音を立ててすすったりするのが大好きです。その三、おっさんは、責任を持っている。
おっさんは、「命にかえてもいい」ものを持っています。でも「ぜったい死にたくない。」とも思っています。誰にでもできることなのに「わしにしかできーん」と思ってたりします。その四、おっさんは、勇気を持っている。
おっさんは喧嘩が嫌いです。あんまり強くありません。でも、負けるとわかっていても「今やらなければいかーん」という時は、とりあえず突っ込んで行きます。負けても「まだ負けてない、もう一回」と言い出します。その五、おっさんは、以外と人の役に立つ。
おっさんはだてに何十年も生きているわけではありません。それなりに「生活」をしてきています。一生懸命「遊び」もしています。誰かが何かで困っているとき、おっさんは「貸してみな」と言わなければなりません。そして失敗して「ゴメンな」と言って立ち去ります。その六、おっさんは、理由なく楽しい。
おっさんは、生きてることが楽しくてしょうがありません。見たことのない景色、読んだことのない本、聴いたことのない音楽、しみじみとおいしい味を手に入れる力を持っています。そして、色あせない思い出に囲まれています。でも一番楽しいのは「何にも考えないでただただ惰眠をむさぼる」ことだったりします。その七、おっさんは、性別は関係ない。
この様に書いてくると、「おっさん」には性別が関係ないことがわかります。ほら、あなたの近くにもたくさん「おっさん」がいるでしょ。お昼のお弁当を普通に食べているだけなのに、突然ゲホゲホむせはじめて、涙ぐんでる人がそこにいるでしょ?その八、おっさんは、自分の事は自分で決める。
おっさんは、もう怖いものがあまりありません。「自分の事は自分で決めなさい。」子供のころによく言われた言葉が、ようやっと少し実践できる知恵がついてきました。「自分の事は、自分で決める事も可能である」と言いなおした方が正確かもしれません。おっさんの、おっさんによる、おっさんのための「おっさん道」でした。たぶん、掟はまだまだあります。「オッサン道」はヒジョーにキビシーイのであります。

最後に。あなたは「おっさん」ですか、「わかぞう」ですか、「じじい」ですか?